トランプ大統領は黒字の対米貿易国すべてが米国に貿易赤字をもたらしたとして4月2日に相互関税を課すと発表した。報復関税を宣言した国・地域には厳罰が待っているとしたにもかかわらず、中国が報復関税をかけてきたため、今ではあたかも米中関税合戦の様相を呈しているが、トランプ関税は同盟国をも含めたすべての対米貿易黒字国を相手にしているので、決して中国にターゲットを絞ったものではない。
しかし、米国の貿易赤字……
(本文末尾にTSMC海外工場に関する追記があります。4月24日加筆)
4月15日、米紙ウォールストリート・ジャーナルが<米国は関税交渉を利用して中国を孤立させる計画>(有料)という見出しの記事を報道した。要は中国に不利な貿易を実行すれば、「トランプ関税」のディールで「あなたの国の関税を緩和してあげますよ」ということだ。
これに関連した記者の質問に回答する形で、中国商務部は「そのような事態が発生……
Liberation Day
President Trump’s love of tariffs isn’t news. Since the 1980s Trump has talked of tariffs as the way to attack countries which in his view were taking advantage of the United States. ……
4月17日、アメリカのピューリサーチが米国民の民意調査の結果を発表した。対中感情が2024年よりも改善し、関税の引き上げに関しては、米国民の半数以上が「良くない」と回答している。
中国共産党の機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」は大喜び。しかし中国には言論統制があるので、民意調査を行うことは基本的にできない。したがって中国の庶民がアメリカをどう思っているかという調査はない。
そこで、中国のネ……
習近平国家主席が遂に中国の最強カード「レアアース凍結」を切った。
4月13日の論考<米軍武器の部品は中国製品! トランプ急遽その部品の関税免除>で、米軍武器製造の際の海外サプライチェーンにおいて中国製品が最も多いことを書いた。その中には他国で代替できるパーツがないわけではない。それでも中国に頼っているのは値段だけの問題ではなく、中国でしか製造できないパーツが多いからだ。
中でもレアアースは中国……
中国の「反外国制裁法」は近年、台湾とその経済、特にハイテク産業に影響を及ぼすとして大きな議論を呼んできた。遠藤教授の記事「習近平が睨んでいるのは『台湾統一』か 中国の『反外国制裁法実施規定』」では、この法的枠組みが台湾経済の将来に及ぼす影響について興味深い分析がなされている。教授の考察は中国の制裁措置がもたらす経済損失に焦点を当てているが、私のこの記事では若干異なる視点に立ち、台湾の柔軟な経済戦略……
日本時間4月12日(アメリカ時間4月11日夜半)、米税関・国境警備局(CBP)は、連邦政府が「スマホ、パソコン、チップおよび一部電子製品」を「相互関税」から免除することに合意したと発表した。
スマホはアップルの工場が中国にあるからであり、パソコンも中国から輸入しており、アメリカ国民の不満がトランプ政権に向かうことを避けたためだが、「一部電子製品」の中に、米軍武器を製造する際の「中国製品」が入って……
4月9日、トランプ政権の対中追加関税50%が発表されるとすぐ、中国はピッタリ同額の対米報復関税50%を同日夜発表した。しかし世界の株価暴落と米国債が売られるのを見てか、トランプ大統領は13時間後に前言を翻した。「報復関税をしなかった国に対する関税適用を90日間一時停止する」と言い始めたのだ。その数時間前まで「90日間一時停止はフェイクだ」と断言しておきながら、「基本関税10%以外は90日間一時停止……
4月6日の論考<トランプ関税は「中国を再び偉大に(Make China Great Again)」 英紙エコノミスト>で、トランプ大統領が4月2日に発表した対中相互関税34%に対して、中国が報復関税34%を表明したと書いた。さらにホワイトハウスの大統領令には、別途、「報復関税をした国・地域には、さらに相互関税を増額させる」という趣旨の文言がある。
中国はそれを承知で報復関税を宣言したのだろうが、……
4月3日、イギリスの週刊新聞「エコノミスト」は<How America could end up making China great again(アメリカはどのようにして中国を再び偉大な国にしてしまうのか)>という見出しの記事を報道した。
BBCも4月4日、<トランプ関税は懲罰か「贈り物」か 4つの国と欧州はどう見ているのか>という解説記事の中で、【中国首脳にとって関税は「贈り物」】と書いてい……
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