Ⅰ. 衝撃と関係性の再編:戦略的警鐘としての関税
ドナルド・トランプ米大統領は2025年4月2日、無差別に「相互関税」を課す大統領令14257号に署名した。米国は世界貿易の均衡を取り戻すためだとするものの、標的は中国だというのが一般的な見方であった。ところが、ふたを開けてみると、台湾に提示された関税率は32%と、日本(24%)や韓国(25%)を上回り中国(34%)に匹敵する高さとなり、不意打ちを……
5月22日、米政権がハーバード大学にいる留学生や訪問学者を大学から追放し、同大学の留学生および訪問学者の受け入れ資格を取り消すと宣言すると、中国は素早く動いた。香港やマカオの大学にハーバード大学にいる留学生を破格的な好条件で受け入れると宣言させたのだ。すでに数十名のハーバード大留学生からの問い合わせが来ていると香港メディアは伝えている(国籍は不明)。
中国のネットでは、「トランプが中国を再び建国……
(5月26日加筆:トランプ大統領は本来「反ユダヤ主義」排除を目的としてハーバード大学から「全ての留学生の受け入れ認定資格を取り消す」という意思表明をしていたのだが、それではアメリカ国民からの反発が大きすぎることを知り、「反中・反共」という理由を後付けした。本稿は読者がそれを分かっているものという前提の下で5月25日に公開したが、必ずしも理解していない読者が多いことが判明したので、25日に公表した3……
Ⅰ. Shock and Realignment: Tariff as Strategic Wake-up Call
On April 2, 2025, U.S. President Donald Trump signed Executive Order No. 14257, implementing a sweeping "reciprocal tariffs" policy. While f……
5月19日、日テレニュースNNNが<「台湾統一」へ中国の“戦略” 砂漠にナゾの建物…意味するのは?【バンキシャ!】>という見出しの報道をした。「砂漠にナゾの建物」というのは、1年ほど前に台湾メディアが盛んに報道した情報なので、あの話とは違う新しい情報かと思い、その「ナゾの建物」だけに焦点を当てて、ネットで【バンキシャ!】を見てみた。
すると何のことはない、1年前の台湾メディアの焼き写しだし、台湾……
トランプ関税が発表されたあとの今年4月9日から23日にかけて、デンマークに根拠地を置くシンクタンク「アライアンス・オブ・デモクラシーズ(Alliance of Democracies=AoD)」(創設者はNATO元理事長)が世界100ヵ国11万1,273人を対象に意識調査を行なった(調査の実施自体はNira Dataに依頼)。そのデータDPI2025が5月12日に発表された。ただし、このリンク先か……
5月12日、米中関税交渉の結果、互いに90日間115%もの関税引き下げを行うという劇的な発表があった。5月7日にトランプ大統領は対中関税145%を引き下げるかと聞かれ「ノー!」と断言し、その2日後の5月9日には「80%まで引き下げるのが適当かもしれない。ベッセント次第だが」と投稿したばかりだ。喧嘩を吹っ掛けた方から引き下げるとは言えないので、ベッセント財務長官のせいにして、その実、トランプは切羽詰……
反ファシスト戦勝80周年記念祭典に出席するためモスクワを訪問した習近平国家主席は5月8日、プーチン大統領と会談し共同声明を発表した。その中で日本が第二次世界大戦に関して「歴史改ざんをしている」と非難しているが、歴史を改ざんしているのは中国共産党だ。日中戦争中、毛沢東は国民党軍を率いる蒋介石を打倒するため、日本軍と共謀すべく日本の在外公館に中共スパイを派遣したことは、今では知らない人は少ないのではな……
米国の海外軍事基地の数え方にはさまざまあり分類の仕方によって違うが、「128ヵ所」という数え方と「562ヵ所」という数え方がある。いずれにしても地球上で米軍だけが突出して多く、中国はジブチ「1ヵ所」しか持っていない。
したがって中国による「軍事的世界制覇」はあり得ないと考えるのが妥当だろう。その代わりに中国は貿易で世界を制覇しようとしている。
トランプ大統領がまるで「世界の王様」気取りで全世……
中国は建国以来、アフリカとの関係を重んじ、緊密度を深めてきた。そこにトランプ1.0の時の2018年にトランプ大統領がアフリカを「肥だめ」呼ばわりして完全に中国の方にアフリカを押しやっている。トランプ2.0ではトランプ関税と、意外なことに、イーロン・マスクの存在がアフリカを徹底して中国に近づける役割を果たしてしまった。
その現状分析と謎解きをしたい。
◆イーロン・マスクとトランプがアフリカでGD……
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