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ご挨拶

 米中対立が大きなうねりとして世界各国を巻き込んでいる今、一人で中国問題の分析と闘っているのには、限界があるということを感じていました。関係国と意見交換する、何かグローバルな形でのシンクタンクを創れないかと思っていたのです。

 そんな折、今年4月、昔からご縁のある実業之日本社の岩野裕一社長のご紹介により、同社の社主である白井一成氏とお会いする機会に恵まれました。偶然なことに、なんと白井氏も日本の国益に寄与できるようなシンクタンクを創ることはできないかと考えておられたようです。お会いしたその瞬間、ある構想が閃きました。

 関係各国から研究者を募り、その国から見た中国問題を浮き彫りにして、一つのプラットフォームを形成していく。それも世界に広がるので、このIT時代、研究所はネット空間であるべきだという考えでも一致したのです。それがこの「中国問題グローバル研究所」です。英語名Global Research Institute on Chinese Issues の頭文字を取ってGRICI、「グリーチ」と呼んでください。

 研究員には、まず私の良き友人でアメリカのペンシルバニア大学で教鞭をとっておられるArthur Waldron(アーサー・ウォルドロン)教授になって頂きました。ウォルドロン教授は世界に名を馳せた第一級の中国問題研究者であるだけでなく、トランプ政権の”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーでもあるのです。これほどの適任者は他におられないでしょう。

 次に中国問題を研究するのに、肝心の「中国」からの代表者がおられないのでは公平さを欠きます。しかし日米の視点から見た論考と、同じプラットフォームに立つ勇気を持って下さる中国人の研究者が果たしておられるか。かなり悩みましたが、反対意見を噛み合わせてこそ、真の論考ができるはずで、それこそがアカデミズムではないかと自らに言い聞かせ、思い切って北京の友人に相談しましたところ、「中国にも意見を言わせてくれるチャンスをくれて、ありがとう」と仰り、素晴らしい研究者を紹介してくれました。

 それが北京郵電大学の孫啓明教授です。北京郵電大学は、アメリカの半導体大手・Qualcomm(クァルコム)が1990年代から研究所を共同設立していた大学で、しかもあのファーウェイ(華為技術、Huawei)の頭脳であるハイシリコンの総裁が卒業した大学でもあるのです。これもまた運命的でした。

 研究員以外にも、投稿だけをして下さる研究者もおられます。初回は台湾の国防安全研究院非伝統的安全および軍事任務研究所の王尊彦・助理研究員が書いて下さいました。

 今後、徐々に国・地域を広げていき、より多くの研究者にご参画いただこうと思っております。

 研究員の投稿は概ね月一回ですが、研究員の数が増えれば間隔をずらして公開しますので頻度は高くなると思います。遠藤自身は初回を除いて、随時Yahooにおけるコラムを転載する形を、しばらくは取らせていただきます。

 各自が興味を持つ内容を適宜テーマとすることを基本としていますが、時には特定のテーマを決めて発信していくこともあります。言語は日本語と英語で発信する所存です。

 皆さまからのご意見もお待ちします。どうぞ、議論に参画して下さい。

 本シンクタンクが、いくらかでも皆様のお役に立つことができれば、この上ない幸せです。

 

2019年7月5日

中国問題グローバル研究所

所長  遠藤誉