下り坂が続く
2期目を開始して2カ月となるドナルド・トランプ氏は、依然としてマスコミを日々賑わせており、新たなドラマや非常識な言動を毎日世に発する様子はまるで昼ドラのようだ。大統領を影で支えるチームは人々を情報の洪水に巻き込む戦略を展開しているが、これは偶然の結果ではなく、憲法違反や大統領の越権行為だと判断されうる行動に反対するだろう人たちを混乱させ、押さえつける企てである。援助プログラムやバイ……
3月25日、アメリカの国家情報長官室は「世界の脅威に関する年次報告書」を公表した。AIにおいて中国が2030年までにアメリカを凌駕するだろうと予測している。
一方、アメリカのシンクタンクMacroPolo(マクロポロ)の調査によれば、アメリカのAIトップ企業のAIトップ人材は2022年段階ですでに「中国38%、アメリカ37%」となっており、世界のAIトップ人材の47%が中国人であるという。
……
トランプ大統領はNED(全米民主主義基金)を財政支援するUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)を解体すべく動き、3月19日には第二次世界大戦後米軍が担当してきたNATO軍最高司令官ポストの放棄を検討しているニュースが流れた。これはNATO解体を示唆する。3月10日にはトランプ政権のシンクタンクがEU解体に向けて動いていると報道されてもいる。
NED解体、NATO解体は中露両国にとっても実に歓迎……
3月13日のコラム<「米国の500倍の生産力を持つ中国の造船業」PartⅠ 米国はなぜ負けたのか、関税で中国を倒せるのか>で、「それなら中国の造船業はなぜ成長したのか」に関してはPartⅡあるいはそれ以降に書くつもりだとお約束したので、早速このPartⅡで考察したいと思う。
カギは「造船業と鉄鋼業の戦略的連携」だ。
中国の国家戦略は世界のどの国も実行していない中国国内での連携政策を着々と実……
3月5日、トランプ大統領は施政方針演説でアメリカの造船業を復活させると強調したが、中国は現在、アメリカの500倍の造船生産力を持っている。アメリカの造船業はなぜそこまで衰退したのだろうか?また関税措置や制裁などによって、そのギャップを埋めることができるのだろうか?
◆施政方針演説での造船に関するトランプ大統領の抱負
ホワイトハウスの発表によれば、<3月5日のトランプ大統領の施政方針演説>には……
中国の今年度の両会(全国両会)―中国人民政治協商会議(全国政協)と全国人民代表大会(全人代)―が、それぞれ3月4日と5日に始まった。これらの会議は指導部の方向性を反映し、重要な演説や政策発表、法改正が行われるなど、中国の政治情勢の形成において重要な役割を果たしている。
両会は過去数十年にわたり、政府が長期的な戦略目標と当面の経済調整を表明し、安定と団結をアピールする場として機能してきた。ゆえに政……
3月5日から中国北京では全人代(全国人民代表大会)が始まったが、防衛費(国防費)に関して、前年比7.2%増であることから、日本のメディアは一斉に「中国の防衛費が異常に増加」とか「異常に高額である」と書き立てている。そこにはGDPが増加した事実は書かれていないので、判断が不正確になる。そこで本稿ではGDPとの比較において、中国の防衛費の多寡(たか)の考察を試みる。
それを通して、日本のあるべき姿……
中国が毎年発表する中央1号文書は国の基本的な優先事項を示すものだが、2025年も例外ではない。「農村改革をさらに深化させ、農村の全面振興を着実に推進することに関する意見」と題された2025年の中央1号文書も、従来どおり農村開発に焦点を当てる一方、「2つの継続」と「4つの重点領域」の下、より簡素化した枠組みを導入し、食料安全保障、工業化、農村の振興を政策努力の中心に据えている。
今回の文書では、農……
2月18日、イギリスの科学雑誌ネイチャー(Nature)は<中国はDeepSeekで波紋を投げかけたが、その真の野望はAI主導の産業イノベーションだ>というタイトルの論考を掲載した。タイトルからは具体性が想像しにくいかもしれないが、概括的に見るならば、以下の3点を主張していると言っていいだろう。
●中国には膨大な製造業があるため、中国の AI は製造現場から絶え間なく湧き出てくるニーズによりイ……
日本時間2月28日夜、ホワイトハウスにおけるゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談が決裂に終わったことは、中露をこの上なく喜ばせた。会談が決裂する数時間前の同じ日、ロシアのショイグ安全保障会議書記は北京詣でをして習近平国家主席と会っていたし、27日には米露代表団がトルコのイスタンブールでウクライナ戦争の停戦交渉をしていた。中露と米露は、それぞれホワイトハウスにおける米ウ(ウクライナ)会談の「リス……
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