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台湾総統選「藍白合作」(野党連携)破局! なんと、国民党の支持率が民進党に僅差で迫る
台湾総統選挙 立候補者らが最終届け出(写真:ロイター/アフロ)
台湾総統選挙 立候補者らが最終届け出(写真:ロイター/アフロ)

24日、「藍白合作」が破局した。民進党の圧勝になるだろうと思っていたところ、なんと、藍(国民党)の侯友宜候補の支持率(31.1%)が、政権与党・民進党の頼清徳候補の支持率(31.4%)に、ほぼ誤差範囲で迫っていることがわかった。政党支持率も僅差だ。

◆「藍白合作」が破局

23日、最後の話し合いとして、白陣営(民衆党)の柯文哲候補が無所属で立候補した郭台銘(テリー・ゴウ)氏とともにホテルの会議室から藍陣営(国民党)の侯友宜候補に連絡し「一人で来て、3人で話し合おう」と言ったのに、侯友宜は白陣営の依頼に反して、国民党の朱立倫党首と馬英九元総統を引き連れて3人で行った。

もう、その時点で、これは決裂するなと思ったのだが、案の定決裂し、総統立候補届日である最終日の24日になって、侯友宜が副総統候補とともに届け出、柯文哲も副総統候補とともに届け出を済ませた。

郭台銘は立候補を取り消し、届け出なかった。

「藍白合作」は完全に破局したのだ。 

そもそも、3人が対等に連携をして一つの連合政党として力を合わせて闘い、民進党をやっつけようという趣旨で始まったものを、何のために相手が「連れて来るな」と強調している朱立倫と馬英九を連れていくのか。

以下に示した5人の姿を見た瞬間、筆者でさえ、腹立たしく思った。

図1:一人で来てくれと頼んだのに、朱立倫と馬英九を伴って行った国民党

出典:中央通信社(美麗島電子報に掲載されていた写真)

出典:中央通信社(美麗島電子報に掲載されていた写真)

これではまるで、「さあ、国民党の傘下に入りなさい」と言っているようなものではないか。こんな連携なら分裂した方が良いと思ったほど、義憤が込み上げてきた。

合作(協力連携)をするとしながら、このような醜い形で終るくらいなら、合作など呼びかけなかった方が良かったし、こんな醜い姿をさらしている内に、民進党の頼清徳は晴れやかに独り勝ちをしていくだろうと、ほぼ確信に満ちて「愚かな国民党!」と思っていた。

ところが、その国民党の侯友宜の支持率がほぼ誤差範囲で民進党の頼清徳に迫っているという。

え?

なぜ?

そのようなことがあり得るのか?

◆美麗島(FORMOSA、フォルモサ)電子報の民意調査

そんなことが、あり得たのだ。

11月24日、台湾の美麗島電子報は11月21日から23日にかけて行った支持率に関する第77回民意調査の、驚くべき結果を発表した(第1回目の民意調査は7月17日)。

なんと、民進党(緑)の頼清徳は「31.4%」で、国民党(藍)の侯友宜の支持率は「31.1%」と、拮抗している。図2に示したのは民衆党(党のシンボルカラーは白だが、明るい水色)の柯文哲も入れた3人のうち、誰を支持しますか?という質問に対する回答のパーセンテージである。

図2:「3人の候補者」に対する支持率推移(7月17日~11月23日)

 

出典:美麗島電子報

出典:美麗島電子報

 

頼清徳の支持率は、過去最低になっている。

柯文哲は侯友宜に6%も引き離されているではないか。あんなに支持率の計算方法が良くないとして「藍白合作」に不満をぶつけた柯文哲の主張は正しくなかったことになる。やはり支持率の計算方法にイチャモンをつけたのは、あくまでも表面上の口実であって、本当は他の理由だったのかもしれない。台湾の政治学者の中にも「ちゃぶ台返しは、支持率の計算方法ではなく、あれはただの口実だ」と言っていた人もいた。

では、政党支持率に関しては、どうなっているのだろうか。

図3では同じく美麗島電子報の調査による、「もし政権交代があるとすれば、あなたはどの政党を選びますか?」という質問に対する回答のデータを示した。23日までの調査なので、まだ郭台銘が立候補を取り消していないため、郭台銘(無所属)政権に関しても聞いている。

図3:政党支持率の推移

 

出典:美麗島電子報

出典:美麗島電子報

 

このデータも驚きだ。

      緑(民進党) :27.8%

      藍(国民党) :26.8% 

      水色(民衆党):16.5%

      黄色(無党籍): 2.9%

と、政党支持率も、民進党と国民党で、やはり拮抗していると表現していいだろう。わずか1%の差でしかない。

そして、若者に人気があるとみなされていた、柯文哲のあの民衆党は、国民党に10%も差を付けられている。 

なぜ、このようなことになったのか?

少なくとも民進党と国民党の支持率がほぼ同じになってしまったのは、世界中の目が「藍白合作」劇に向けられていた間、民進党への関心が薄れ、気持ちはほとんど、「藍白合作」が破局した場合に「藍にするか、白にするか」に関心が向けられていたから、ということではないかと思われる。

ならば、なぜ民衆党は、こんなに国民党に引き離されてしまったのだろうか?

拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』では、「藍白合作が成功するか否かが分岐点になるだろう」とした上で、支持率に関しては、「いつ何が起き、どう変わるかは何とも言えないので、立候補者の支持率に関しては予測するのを控えたい」と書いたのだが、今も同じことしか言えない。特に、なぜ柯文哲個人と民衆党の支持率がこんなに相対的に下落したのかに関しては、他の民意調査の結果も考察して慎重に分析するしかない。

侯友宜個人の支持率が信じられないほど急上昇した原因に関しても、同様のことが言える。

台湾の総統選には台湾有事の可能性の有無がかかっている。

他の民意調査が出るのを待って、静かに推移を見ていくことにしたい。

この論考はYahooから転載しました。

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。「中国問題グローバル研究所」所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』(実業之日本社)、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(PHP)、『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(遠藤 誉 (著), 白井 一成 (著), 中国問題グローバル研究所 (編集)、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(毎日新聞出版)、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版・韓国語版もあり)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。7月初旬に『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』(ビジネス社)を出版予定。 // Born in 1941 in China. After surviving the Chinese Revolutionary War, she moved to Japan in 1953. Director of Global Research Institute on Chinese Issues, Professor Emeritus at the University of Tsukuba, Doctor of Science. Member of the Japan Writers Association. She successively fulfilled the posts of guest researcher and professor at the Institute of Sociology, Chinese Academy of Social Sciences. Her publications include “Inside US-China Trade War” (Mainichi Shimbun Publishing), “’Chugoku Seizo 2025’ no Shogeki, Shukinpei ha Ima Nani o Mokurondeirunoka (Impact of “Made in China 2025” What is Xi Jinping aiming at Now?), “Motakuto Nihongun to Kyoboshita Otoko (Mao Zedong: The Man Who Conspired with the Japanese Army),” “Japanese Girl at the Siege of Changchun (including Chinese versions),” “Net Taikoku Chugogu, Genron o Meguru Koubou (Net Superpower China: Battle over Speech),” “Chugoku Doman Shinjinrui: Nihon no Anime to Manga ga Chugoku o Ugokasu (The New Breed of Chinese “Dongman”: Japanese Cartoons and Comics Animate China),” “Chugogu ga Shirikonbare to Tsunagarutoki (When China Gets Connected with Silicon Valley),” and many other books.

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