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河野太郎の父・河野洋平等が建党百年に祝電――中国共産党万歳!
7月1日に建党100年を迎える中国共産党(写真:ロイター/アフロ)
7月1日に建党100年を迎える中国共産党(写真:ロイター/アフロ)

中国共産党建党百年祝賀に当たり、河野洋平元衆議院議長や立憲民主党現職議員あるいは村山談話を守る会や霞山会などが祝辞を述べたり、CCTVでインタビューを受けたりなど、中国共産党を絶賛している。

◆河野太郎大臣の父・河野洋平氏の祝電

中国共産党建党百年の祝賀行事が真っ盛りだが、ロシアをはじめアフリカ諸国や東南アジアあるいはラテンアメリカなど世界各国から祝電が届く中、日本の元議員や現職議員もおり、筆頭に挙げられるのは元自民党総裁で衆議院議長だった河野洋平氏だ。

6月26日、中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVで大きく取り上げられ、中国共産党新聞網でも中国共産党の宣伝として使われている。

このページでは最近寄せられた世界各国からの祝賀メッセージの一部分が公表されているが、河野洋平氏のメッセージは下から二つ目の段落に書いてある。彼は以下のようなメッセージを寄せ、中国共産党を讃えている(日本語原文は分からないので中国語から日本語に翻訳した)。

――中国共産党は団結して中国人民を指導し、社会主義制度を打ち建て完全なものとしてきた。これは目を見張るばかりの輝かしい成果である。中国共産党が中国の発展をさらに大きく推進し、世界の平和と発展を守るためにさらなる貢献を果たすことを期待している。

実に立派な中国共産党賛辞ではないか。

彼の言葉は「中国共産党万歳!」という番組の流れの中で位置づけられている。

河野洋平氏はいわゆる「河野談話」(1993年)で知られている。河野談話とは「慰安婦の強制連行に日本軍が関与していたという事実を認め、日本政府として心からのおわびと反省の気持ちを示した談話」である。このことを中国は高く評価しているが、事実、河野洋平氏自身、2017年5月の講演で日本の憲法改正に関して「中国の嫌がることばかりやっている」と語っている。

つまり強烈な親中派だ。

その息子の河野太郎氏(自民党衆議院議員、行政改革担当大臣、国家公務員制度担当大臣、新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣、内閣府特命担当大臣)も外務大臣だったころに、中国外交部の報道官・華春瑩とツーショットを撮り、SNS上で流したことで有名だ。SNSを使うのは選挙目当てだろうが、こういう行動を取るということは、いつなんどき、極端な親中行動に走らないとも限らず、自民党の中の「危険分子」の一人としてマークしておいた方がいいだろう。

◆立憲民主党の近藤昭一議員はインタビューを受け中国共産党を絶賛

立憲民主党の現職議員で、日中友好議員連盟幹事長の近藤昭一氏は、6月10日に中国政府の通信社である新華社の取材を受け、尋常ではない中国共産党絶賛を展開している。これは中国網の日本語版で紹介されているので、そちらをご覧になると全容がわかる。「人民のために服務するというのが、中国共産党の貴い精神である」と発言するなど、その絶賛ぶりが尋常ではないことが見て取れるだろう。

この時の映像はCCTVでも大々的に放映されている

このことは近藤昭一に関する日本語のウィキペディアの「中華人民共和国」の項目でも紹介されている。

自民党の二階幹事長や公明党が極端な親中であることは広く知られており、アメリカからも名指しで批判を受けているが、野党の立憲民主党は、二階幹事長や公明党が推し進める「習近平の国賓来日」を少しも批判しないと思ったら、なんと立憲民主党の中にも、こういう「中国共産党万歳!」派がいるということなのか。

立憲民主党全体の対中姿勢がどうなのかに関しては、あまり顕著に表明されていないが、日本中、どこもかしこも「中国共産党万歳!」ではないか。

◆「村山談話を継承し発展させる会」の藤田高景理事長の祝辞

「村山談話を継承し発展させる会」の藤田高景理事長のインタビュー記事は、中国共産党のウェブサイトの一つである「人民網」の「百年大党、信仰が未来を照らす(百名の外国政党政府要人が見る中国共産党)」というシリーズの中に掲載されている。この「信仰」というのは「中国共産主義」のことで、中国での履歴書には「信仰」という欄が設けられているものがあり、そこに「中国共産主義」と書くと就職しやすい。

藤田氏の取材内容は上記「人民網」の3番目に書いてあり、彼は冒頭で「中国共産党は遠大なる理想を持っていて、自己の特殊利益を求めない。すべてが、人民に良い生活を送らせるためだ」と回答している。

何をおっしゃっているのだろう。

中国の現実を見たことがあるのだろうか?

中国共産党の歴史は、権力を維持・奪取するために裏切りと陰謀の限りを尽くした政党だ。政権を奪取した後に、自国の国民を7000万人以上も死に追いやった政党は、人類史上にないと言っても過言ではない。それが中国共産党だ(詳細は『裏切りと陰謀の中国共産党100年秘史 習近平 父を死に追いやった鄧小平への復讐』)。

香港における「人民の意見を無視し、民主を弾圧する現実」も目の前で進行しているではないか。

それらを見て見ぬ振りをして、中国になびいていく日本人の、なんと多いことか。

◆日本の霞山会も中国共産党建党百年に祝辞

中国では民間団体として表現されている日本の霞山会(一般財団法人)もまた、中国共産党建党百年を祝賀するメッセージを送っている。

そのことは河野洋平氏に関してご紹介した中国共産党新聞網の最後の段落の末尾から二人目の所に書いてあるので、ご確認をいただきたい。

霞山会の前身は1898年に設立された東亜同文会だが、上海に高等教育機関として東亜同文書院を設立した時期があった。

実は毛沢東が上海の岩井公館に派遣したスパイ藩漢年が親密にしていた岩井英一は、この上海同文書院と深く関係している。

そのようなことから霞山会には、何かしら奇妙な親しみがあって深い興味を持っているのだが、結局のところ、毛沢東が建国した中国共産党の国家に対して協力的であるというのがまた、なんとも興味深い。

◆日本中、どこもかしこも「中国共産党万歳!」

拙著『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』の第七章で、日本がいかに中国共産党の発展に寄与してきたかを書いたが、今もなお、日本の中国共産党への声援は途絶えていない。

なんと言っても自民党の大物議員である、あの二階幹事長が極端な親中であり、与党の公明党も野党もまた熱烈親中議員を擁しているとなると、何とも救われない。

日米やG7で対中包囲網形成のようなことを言っているが、信じられないのは、こういった現実があるからだ。

トランプ前大統領が久々に大勢のアメリカ国民(トランプ・ファン)の前でスピーチをし、開口一番、「どうだ、俺が恋しかっただろう!」とファンを湧き立たせた。

そのアメリカからの祝電は、今のところなさそうだ。

(本論はYahooニュース個人からの転載である)

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。「中国問題グローバル研究所」所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』(ビジネス社)、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』(実業之日本社)、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(PHP)、『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(遠藤 誉 (著), 白井 一成 (著), 中国問題グローバル研究所 (編集)、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(毎日新聞出版)、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版・韓国語版もあり)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。2024年6月初旬に『嗤(わら)う習近平の白い牙』(ビジネス社)を出版予定。 // Born in 1941 in China. After surviving the Chinese Revolutionary War, she moved to Japan in 1953. Director of Global Research Institute on Chinese Issues, Professor Emeritus at the University of Tsukuba, Doctor of Science. Member of the Japan Writers Association. She successively fulfilled the posts of guest researcher and professor at the Institute of Sociology, Chinese Academy of Social Sciences. Her publications include “Inside US-China Trade War” (Mainichi Shimbun Publishing), “’Chugoku Seizo 2025’ no Shogeki, Shukinpei ha Ima Nani o Mokurondeirunoka (Impact of “Made in China 2025” What is Xi Jinping aiming at Now?), “Motakuto Nihongun to Kyoboshita Otoko (Mao Zedong: The Man Who Conspired with the Japanese Army),” “Japanese Girl at the Siege of Changchun (including Chinese versions),” “Net Taikoku Chugogu, Genron o Meguru Koubou (Net Superpower China: Battle over Speech),” “Chugoku Doman Shinjinrui: Nihon no Anime to Manga ga Chugoku o Ugokasu (The New Breed of Chinese “Dongman”: Japanese Cartoons and Comics Animate China),” “Chugogu ga Shirikonbare to Tsunagarutoki (When China Gets Connected with Silicon Valley),” and many other books.

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