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NHKがCIA秘密工作番組報道 「第二のCIA」NEDにも焦点を!
CIAの非公開博物館(写真:ロイター/アフロ)
CIAの非公開博物館(写真:ロイター/アフロ)

2月26日夜10時、NHKがCIA秘密工作に関する番組を特集した。ようやく明るみに出始めたかと深い感動を覚えた。しかし1983年からはCIAが担ってきた「民主」の名において親米的でない政府を転覆させる仕事は「第二のCIA」と称せられるNED(全米民主主義基金)によって遂行されるようになっていることには触れていない。

CIAに関して、ここまで素晴らしい番組を制作するNHKが、なぜウクライナや香港あるいは台湾で同様のことをNEDが仕掛け、こんにちの状態にまで持ってきているのかを直視しないのだろうか。

 

◆CIA 世界を変えた秘密工作

2月26日の夜10時からNHKは「映像の世紀 バタフライエフェクト」のシリーズで「CIA 世界を変えた秘密工作」という番組を報道した。リンク先には以下のような説明がある。

 ――アメリカ大統領直轄の情報機関「CIA」は、戦後のアメリカ外交を陰で支えてきた。世界の民主化支援という大義の下、極秘に他国へ工作員を派遣、秘密工作を仕掛けてきた。戦後まもないイランでは、巧みな世論操作で政権を転覆させ、莫大な石油利権をアメリカにもたらした。冷戦の時代、ソ連の衛星国ハンガリーでは、ラジオを使って反体制運動をあおった。南米チリでは、社会主義政権を親米政権に転換させたクーデターに関与した。(リンク先の説明は以上)

 

アメリカの国家安全保障アーカイブが39年間にわたり収集した資料を基に、機密解除されたチリの政府転覆計画と実行プロセスに関する詳細な分析は圧巻だった。イランやソ連の衛星国に関しても、CIAは「選挙」という手段で親米的でない政府の転覆を狙い、対米従属的な傀儡政権を創り出しては、各地域が本来持っていた秩序を破壊し、平和を乱し、紛争を起こしてきた。

CIAが、あまりに他国の内政に干渉し過ぎるので、政府の機関としては国際法違反になるということもあり、レーガン政権時代の1983年に、民間非営利団体としてNED(National Endowment for Democracy)(全米民主主義基金)を創設した。

 

◆「第二のCIA」NED

なぜNEDを「第二のCIA」と称するかと言うと、拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』のp.241に書いたように、NEDの共同創設者の一人であるアレン・ワインスタイン氏が1991年にワシントンポストの取材を受けたときに「私たちが現在行っていることの多くは、CIAが25年前から秘密裡に行ってきたことです」と述べたからだ。それ以来、NEDは「第二のCIA」と呼ばれるようになった。

この「第二のCIA」であるNEDが創設以来、「民主の衣」を着て各国の選挙に干渉したり、カラー革命などを起こしたりしてきた一覧表を手作業で作成し、同じく拙著の図表6‐8に掲載したので、それを以下に示す。データは主としてNEDのウェブサイトに基づいた。

 

NEDのウェブサイトなどに基づき筆者作成(拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』より抜粋)

 

この一覧表をご覧になれば、「民主の衣」を着て、世界中に紛争を引き起こしてきたのはNEDであることが一目瞭然のはずだ。

 

◆ウクライナ戦争を引き起こしたのも、台湾有事を創り出すのもNED

もう、何度も何度も書いてきたので、くり返すのも心苦しいが、NEDの年次報告書に基づいて書いた「証拠」を、もう一度列挙する。

 

 ●2023年10月4日のコラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か? 露ウに民主化運動を仕掛け続けた全米民主主義基金NED PartⅠ>

 ●2023年10月9日のコラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅡ2000-2008 台湾有事を招くNEDの正体を知るために>

 ●2023年11月29日のコラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅢ 2009-2015 台湾有事を招くNEDの正体を知るため>

 ●2023年12月4日のコラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅣ 2016-2022 台湾有事を招くNEDの正体を知るため>

 

などがある。

ウクライナ戦争は2013年末から2014年初頭にかけて、NEDが起こしたマイダン革命によって親露政権を転覆させ、親米政権を強引に樹立させたことが遠因になっているのは、今では知らない人はいないだろう。

そのためにプーチン大統領はクリミア半島を併合した。

 しかしNHKは「クリミア半島」は「ロシアが一方的に併合したクリミア半島」という形で、接頭語「ロシアが一方的に併合した」を付けた名称でないと、「クリミア半島」という言葉を口にしてはならないという規則でもあるかのように、NEDの正当性(=他国の選挙に干渉して親米的でない政府を転覆させ、戦争ビジネスで儲ける正当性)を日本全国民に刷り込んでいく。そこには「アメリカ・ネオコンの許可なくして、真実を語ってはならない」という規制があるようで、怖い。

(但し、プーチンがウクライナ侵攻をしたのは許せないということは大前提だ。)

『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』の【終章 「アメリカ脳」から脱出しないと日本は戦争に巻き込まれる】で書いたように、日本人は自分がアメリカ脳化されていることに気が付かないほどまでに洗脳されてしまって、「真実を語ってはならない」という「言語統制」を受けているように思う時がある。

 

昨夜のCIAに関する、このように素晴らしい番組を制作できる視点を持っているNHKであるならば、必ずNEDの真実を見抜いているスタッフはいるはずだ。

39年間蓄積してからでないと報道できないとなると、筆者などはとっくの間にこの世にいない。多くの日本人も「台湾有事」により命を失っているかもしれない。

CIAの悪行に踏み込むことができたNHKが、NEDの真相に踏み込めないはずがないと思いたい。一日も早くNEDの真相をも直視し、戦争ビジネスが跋扈しない世の中に一歩でも近づいてくれることを祈ってやまない。

この論考はYahooから転載しました。

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。「中国問題グローバル研究所」所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』(実業之日本社)、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(PHP)、『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(遠藤 誉 (著), 白井 一成 (著), 中国問題グローバル研究所 (編集)、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(毎日新聞出版)、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版・韓国語版もあり)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。7月初旬に『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』(ビジネス社)を出版予定。 // Born in 1941 in China. After surviving the Chinese Revolutionary War, she moved to Japan in 1953. Director of Global Research Institute on Chinese Issues, Professor Emeritus at the University of Tsukuba, Doctor of Science. Member of the Japan Writers Association. She successively fulfilled the posts of guest researcher and professor at the Institute of Sociology, Chinese Academy of Social Sciences. Her publications include “Inside US-China Trade War” (Mainichi Shimbun Publishing), “’Chugoku Seizo 2025’ no Shogeki, Shukinpei ha Ima Nani o Mokurondeirunoka (Impact of “Made in China 2025” What is Xi Jinping aiming at Now?), “Motakuto Nihongun to Kyoboshita Otoko (Mao Zedong: The Man Who Conspired with the Japanese Army),” “Japanese Girl at the Siege of Changchun (including Chinese versions),” “Net Taikoku Chugogu, Genron o Meguru Koubou (Net Superpower China: Battle over Speech),” “Chugoku Doman Shinjinrui: Nihon no Anime to Manga ga Chugoku o Ugokasu (The New Breed of Chinese “Dongman”: Japanese Cartoons and Comics Animate China),” “Chugogu ga Shirikonbare to Tsunagarutoki (When China Gets Connected with Silicon Valley),” and many other books.

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