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中国は甘利幹事長落選に注目――高市氏を幹事長か官房長官に!
2021衆院選投開票日 高市早苗氏と岸田文雄氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
2021衆院選投開票日 高市早苗氏と岸田文雄氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

中国の中央テレビ局CCTVは甘利氏の落選に注目したのみで、岸田政権の勝利を「議席は獲っても求心力は低い」と短くしか伝えなかった。論功行賞で甘利氏を幹事長などにせず、高市氏を幹事長か官房長官にすべきだった。

◆中国は甘利幹事長落選に注目

11月1日の中国の中央テレビ局CCTV国際のお昼のニュースは、主として習近平がG20のリモートで話した内容とか気候変動問題でのスピーチなどに時間を割かれたこともあり、日本の衆院選に関するニュースは、2分弱という、非常に短い時間しか割かなかった。

そのわずかな時間内でも、特に注目したのは甘利幹事長が選挙区で落選し、比例復活はしたものの辞任表明をしていることである。それも「1955年の結党以来、政権交代はしない状況で現役の与党幹事長だけが選局で落選するということは未だかつてない」と、驚きを以て強調している。

このようなことでは「岸田政権は、議席数は確保しても、求心力は弱い政権となるだろう」と番組では結んだ。

◆最初から高市氏を幹事長か官房長官に就任させるべきだった

筆者自身は、岸田氏が自民党総裁に当選し、幹事長に甘利氏を示し、かつ総理大臣指名を受けて官房長官に高市氏を指名しなかった段階で、岸田氏に非常に失望していた。

そのため、たとえば10月1日のコラム<岸田総裁誕生に対する中国の反応――3Aを分析>の文末で、「『高市氏がダメなら、せめて岸田氏に』と期待した国民は、裏切られた気持ちになるのではないかと懸念する」と書いた。

なぜなら総裁選の第一次選挙で高市氏は相当に多くの票を集めており、岸田・河野の一騎打ちの決選投票に入った時には、第一次投票で自分が獲得した表を、河野氏に回らないように、すべて岸田氏の方に行くように、高市氏は一生懸命に努力した。そのプレゼントがあったからこそ、岸田氏が総裁に選ばれたのだから、高市氏には官房長官か、せめて自民党の幹事長の職位を与えるべきだったと思ったからだ。

論功行賞で甘利氏に「返礼」をするくらいなら、むしろ高市氏に「返礼」すべきだったのではないのか。

それをしなかったのは、高市人気が怖くて、次期総裁選の時に岸田氏が総裁に選出されず、高市氏が選ばれる可能性があると計算したものと推測された。

選挙でお世話になった甘利氏に幹事長のポストを与えたのは、論功行賞ということだけではなく、高市人気が怖かったからだと書きたかったが、自重していた。

しかし、「このような了見の狭さで、岸田政権がこのままうまくいくとは思えない」という気持ちが消えず、くすぶり続けていた。

高市氏には政調会長という目立たない職位を与えて、「きちんと約束通り総裁選候補者を尊重した」と言うのは、なんとも狡(ずる)いとしか思えないのだ。

野田聖子氏には大臣ポストを「安心して」与えられるのは、野田氏が次期総裁選で岸田氏を乗り越えるとは思われないからという計算が働いたからだろう。

河野氏には広報部長という端役を与えて「きちんと評価した」とうそぶくのも、やはり汚い。河野氏の力も恐れているので、目立つ重要ポストはあげられない。

そう計算したに違いないという印象を抱いたので、それまで「高市氏がダメなら、せめて岸田氏に総裁になって欲しい」と応援していた気持ちが、人事発表で一気に冷めていったのである。

◆岸田氏は、高市氏を幹事長か官房長官に就任させる勇気を

その思いを表現してしまうことを、甘利氏の選挙区における落選が決意させてくれた。

一か月間抑えてきたので、いま思い切って表現することにした。

今からでも遅くない。

甘利氏が抜ける幹事長ポストに高市氏を就任させるか、あるいは高市氏を、常にマスコミの目に触れる官房長官に就けるべきだ。せめてそうしてくれれば、岸田政権を応援しようかという気持ちが少しは湧いてくる。

中国のCCTVで、岸田氏が自民党議員の当選者名に赤い花を付けていく場面を映していたが、甘利氏は元気なく形ばかりの拍手をしていたのに対して、その隣で高市氏が心から嬉しそうに拍手をして満面の笑みを浮かべている姿がクローズアップされた。

あの晴れやかで美しい笑みの、なんと自信に満ちていることか。

中国の知識層が読むウェブサイトの一つである観察網では、甘利氏が選挙演説で「私がいなくなったら日本は大変なことになる」、「日本の未来は私の手の中にある」という趣旨のことをまくし立てていたと鋭く批判している。この論考は、日本の有権者は、そんなことには騙されなかったと締めくくっている。

中国でさえ見抜いているのだ。

岸田首相に進言したい。

是非とも高市氏に自民党幹事長か内閣官房長官のポストを与える勇気を持っていただきたい。

国民の目はごまかせない。

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。「中国問題グローバル研究所」所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』(ビジネス社)、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』(実業之日本社)、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(PHP)、『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(遠藤 誉 (著), 白井 一成 (著), 中国問題グローバル研究所 (編集)、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(毎日新聞出版)、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版・韓国語版もあり)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。2024年6月初旬に『嗤(わら)う習近平の白い牙』(ビジネス社)を出版予定。 // Born in 1941 in China. After surviving the Chinese Revolutionary War, she moved to Japan in 1953. Director of Global Research Institute on Chinese Issues, Professor Emeritus at the University of Tsukuba, Doctor of Science. Member of the Japan Writers Association. She successively fulfilled the posts of guest researcher and professor at the Institute of Sociology, Chinese Academy of Social Sciences. Her publications include “Inside US-China Trade War” (Mainichi Shimbun Publishing), “’Chugoku Seizo 2025’ no Shogeki, Shukinpei ha Ima Nani o Mokurondeirunoka (Impact of “Made in China 2025” What is Xi Jinping aiming at Now?), “Motakuto Nihongun to Kyoboshita Otoko (Mao Zedong: The Man Who Conspired with the Japanese Army),” “Japanese Girl at the Siege of Changchun (including Chinese versions),” “Net Taikoku Chugogu, Genron o Meguru Koubou (Net Superpower China: Battle over Speech),” “Chugoku Doman Shinjinrui: Nihon no Anime to Manga ga Chugoku o Ugokasu (The New Breed of Chinese “Dongman”: Japanese Cartoons and Comics Animate China),” “Chugogu ga Shirikonbare to Tsunagarutoki (When China Gets Connected with Silicon Valley),” and many other books.

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