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ドイツ空軍のクリミア大橋爆撃機密会話漏洩 煽っていたヌーランドは遂に更迭か?
出典:CBSニュース(ヴィクトリア・ヌーランド)
出典:CBSニュース(ヴィクトリア・ヌーランド)

3月1日、ドイツ空軍高官がクリミア大橋爆撃計画を謀る会話がロシアによってリークされ、7日に中国の中央テレビ局CCTVが漏洩事件を特集し、中国共産党の内部資料「参考消息」なども詳細を伝えた。時を同じくして、2013年末から2014年初頭にかけてウクライナのマイダン革命を画策した、ネオコンの根城を形成するヴィクトリア・ヌーランド国務次官の(数週間以内の)辞任が伝えられた。これに関してアメリカのジャーナリストDanny Haiphongが元国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会主任査察官Scott Ritterを取材した長い動画を見つけた。

その他数多くの関連情報を鑑みると、ヌーランドの突然の辞任は更迭と考えていいようだ。なぜならロシア攻撃に関して最も積極的なのはヌーランドで、この陰謀が実現されれば第三次世界大戦に突入することは明らかだったからだ。何よりも、それはバイデン政権の意思と相反するからである。

 

◆ロシアがリークしたドイツ空軍高官機密会談を大々的に報道する中国

全人代が開催されている最中の3月7日、中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTV新聞端末は<ドイツ軍高官が参加したオンライン会議の際に機密保持措置を怠り、漏洩につながった>という見出しで、詳細な報道をしている。

全文は非常に長いので、要点だけを略記すると以下のようになる。

 ――3月1日、ロシアメディアは、ウクライナへの巡航ミサイル供与と(ロシア本土とクリミア半島をつなぐ)クリミア大橋の爆撃に関してドイツ軍将校らが話し合っている音声録音を公開した。ドイツ国防相は5日、会議参加者がネット接続する際に機密保持措置を怠り、内容が傍受されたと述べた。複数のメディア報道によると、この参加者は2月19日にシンガポールに滞在していたドイツ国防軍空軍軍作戦・演習部長のグレーフェ准将だった。ドイツの西側同盟国である米国、英国、フランスはこの漏洩に激怒した。この会談は秘密であるはずだったが、ドイツの無能さを確認する結果となった。

ドイツのショルツ首相は4日、ウクライナに「タウルス」巡航ミサイルを提供しないと改めて表明した。ドイツ首相はこれに先立ち、これは「越えてはならない一線」で、これを超えればドイツが戦争の当事者になると述べていた。(CCTVからの引用はここまで。)

このニュースは日本語でも報道されており、ドイツ側でも本物の音声だと認めているようだ。

中国共産党内部の情報網だった「参考消息」(今では公開)は、3月6日に<ドイツ軍「情報漏洩事件」の責任者特定、「シンガポールで傍受されていた」>という見出しでロシア衛星通信社の記事をさらに詳細に報道している。

興味深いのは中国の3月6日の「羊城晩報」<ドイツ国防省「1234」をパスワードに使うとは、セキュリティが問われる>という報道だ。それによればドイツ国防省は、漏洩した軍通信に関するパスワードが「1234」だったことが判明したと表明し、批判を受けているとのこと。

以下に示すのは、3月1日にロシア・トゥデイ(RT)が公開した「ドイツ軍の通話記録ビデオ」のスクリーンショットだ。

出典:ロシア・トゥデイ


 

図表の波形はオーディオスペクトルを示しており、ロシア側がここまで公表したのは、声紋鑑定を行えば、これがフェイクかどうかもはっきりするという目的だと思われる。事実、ドイツ側は、これが事実であることを認めている。

ロシア語に堪能な友人に教えて頂いたのだが、顔写真がない者も含めて、左から右へ順に名前と肩書を記すと以下のようになるようだ。

    Mr.Grefe ドイツ軍司令部作戦教練部長

    Mr.Fenske  ドイツ国防軍宇宙航空作戦部員

    Mr.Gerhartz ドイツ国防軍監察官

    Mr.Froschedt ドイツ国防軍宇宙航空作戦部員

 

傍聴された会議の内容によれば、クリミア大橋への攻撃方法以外に「ショルツ首相は腰抜けだ」などの悪口もあったとのこと。

 

◆ヴィクトリア・ヌーランドは更迭されたのか?

アメリカのブリンケン国務長官は3月5日、ヌーランド国務次官が今後数週間内に退任すると発表した。

冒頭に書いたように、これに関してアメリカのジャーナリストDanny Haiphongが元国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会主任査察官Scott Ritterを取材した長い動画を見つけた。タイトルは<ロシアがウクライナのネオコン政策を破壊する中、ビクトリア・ヌーランドにとってはゲームオーバーだ>

関連する部分の要点だけを示すと、以下のようになる。

 ●ヴィクトリア・ヌーランド。ネオコンの「クッキーモンスター」。ゲームオーバーだ。(筆者注:「クッキーモンスター」に関しては2022年5月1日のコラム<2014年、ウクライナにアメリカの傀儡政権を樹立させたバイデンと「クッキーを配るヌーランド」>をご覧いただきたい。)

 ●今回の辞任は、彼女の自発的行為ではない。彼女はウクライナ紛争の立案者であり、彼女はリセットを考えたことはない。彼女は常に好戦的で、前のめりばかりを続けてきた(=今般の好戦的な挑発もヌーランドによるものだ)。

 ●しかしそれはバイデン政権が現在求めているものではない。バイデンは今年の大統領選で勝利を望んでいるのであって、今この状況で欧州をけしかけたら、第三次世界大戦、いや核戦争になってしまう。ヌーランドの動きは、今やホワイトハウスの利害と一致してない(=だから欧州を煽ったのはバイデン政権にとって「害」である)。

 ●欧州に圧力をかけ、打倒ロシアに向けて財力や兵力を投じさせたが、結果としてそれは「ロシアの脆弱化」を招かず、ロシアを強くさせているではないか。ロシアの勝利は明らかで、ウクライナの敗北も明らかだ。

 ●ゲームオーバーだ!ヌーランドがこれ以上欧州をけしかけてロシア打倒に向けて前のめりになれば、ロシアはさらに強くなり、怪物を生み出すことになる。

 ●ヌーランドよ、あなたは今や問題を解決する一部ではなく、あなた自身が問題の一部になったのだ。そのことを自覚せよ。(動画の概略はここまで。)

 

概ね以上のようなことを、他の要素も絡めながら凄まじいスピードで喋り続けている。この動画だけでなく、他の多くの情報があるが、要するにヌーランドは戦争ビジネスで生きるネオコンの闘士として終わりを告げ、バイデンにとってはむしろ「害」をなすモンスターとなり、更迭されたのだということが推論される。

 

◆日本と「ネオコン」ヌーランド

拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』の【終章 「アメリカ脳」から脱出しないと日本は戦争に巻き込まれる】に書いたように、日本は完全にネオコンが主導する「第二のCIA」であるNED(全米民主主義基金)によってマインドコントロールされている。

 その証拠に、日本の閣僚らが、どれほどヌーランドと仲が良いかを誇っているような一枚の写真をご紹介したい。ヌーランドのツイッター(現X) に載っている写真だ。 

出典:ヌーランドのツイッター(現X)


 

説明は要らないだろう。日本は対米追随から抜け出し、自主独立の国家として立ち直って欲しいと望むばかりだ。

 

この論考はYahooから転載しました。

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。「中国問題グローバル研究所」所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』(ビジネス社)、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』(実業之日本社)、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(PHP)、『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(遠藤 誉 (著), 白井 一成 (著), 中国問題グローバル研究所 (編集)、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(毎日新聞出版)、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版・韓国語版もあり)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。2024年6月初旬に『嗤(わら)う習近平の白い牙』(ビジネス社)を出版予定。 // Born in 1941 in China. After surviving the Chinese Revolutionary War, she moved to Japan in 1953. Director of Global Research Institute on Chinese Issues, Professor Emeritus at the University of Tsukuba, Doctor of Science. Member of the Japan Writers Association. She successively fulfilled the posts of guest researcher and professor at the Institute of Sociology, Chinese Academy of Social Sciences. Her publications include “Inside US-China Trade War” (Mainichi Shimbun Publishing), “’Chugoku Seizo 2025’ no Shogeki, Shukinpei ha Ima Nani o Mokurondeirunoka (Impact of “Made in China 2025” What is Xi Jinping aiming at Now?), “Motakuto Nihongun to Kyoboshita Otoko (Mao Zedong: The Man Who Conspired with the Japanese Army),” “Japanese Girl at the Siege of Changchun (including Chinese versions),” “Net Taikoku Chugogu, Genron o Meguru Koubou (Net Superpower China: Battle over Speech),” “Chugoku Doman Shinjinrui: Nihon no Anime to Manga ga Chugoku o Ugokasu (The New Breed of Chinese “Dongman”: Japanese Cartoons and Comics Animate China),” “Chugogu ga Shirikonbare to Tsunagarutoki (When China Gets Connected with Silicon Valley),” and many other books.

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