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「一帯一路」香港サミット2019挙行:9月11日
2019年9月12日
「一帯一路」香港サミット2019挙行
「一帯一路」香港サミット2019挙行(提供:白井一成)

「逃亡犯条例」改正案を撤廃したとはいえ、まだ不安定な状況が続く中、9月11日のサミットが挙行された。日本にも中国にも確実な情報がない中、現場に行きナマ情報を届けてくれたのは本シンクタンク創設者の一人である白井一成氏だ。まさに第一級のスクープ写真である。

◆リアリティに満ちた貴重なナマ情報!

9月10日夜、中国政府元高官(長老)と連絡し合い、9月11日に香港で開催されることになっている「一帯一路」香港サミット2019は果たして開催されるのか否か情報提供をお願いした。

というのは9月2日にコラム<どうする「一帯一路」香港サミット2019>で、このままだと開催できないと分析していたからだ。しかしその2日後の9月4日に、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は改正案撤廃を宣言した。

なぜこの時期に突如宣言したかと言えば、一週間後には「一帯一路」香港サミット2019が香港会議展覧センターで開催されることになっていたからだった。改正案撤廃を宣言しなければ、そのコラムで推測した通り、おそらく深圳で開催するしかなかっただろう。

もちろん改正案撤廃宣言後も香港の抗議デモはやや抑制的になりながらも続いた。

だからこそ開催するか否かは微妙な状況で、中国政府元高官に意見を求めたのだが、「正確な情報を得ることはできない」という回答が来ていた。確認した最終時間帯は既に10日から11日にまたがっており、夜中を通して連絡し続けたことになる。

仮眠を取って、早朝から中国大陸のネットを検索したが、やはり確たる情報は流れていない。

しかし、あのようなコラム(私見による考察)を公開した以上、社会的責任を覚えてしまう。

さて、どうしたものかと思いあぐねて、ふと香港におられるシークエッジグループの代表、白井一成氏にお聞きしてみた。白井氏は本シンクタンクの創設者の一人でもある。

すると、なんと白井氏は社員をわざわざ社員を香港会議展覧センターに行かせて現場のナマ情報を届けてくれた。

会場前まで行ってみたところ、北京語が会場内から聞こえてくるので、開催していると思うが、人が少ないとのことで、以下のような写真を送ってきてくれたのだ。

まず、外側にある看板(写真1)。

一帯一路香港サミット2019

写真1:サミット会場の外側にある看板

間違いなく“BELT and ROAD SUMMIT”と書いてある。「一帯一路サミット」という意味だ。

「11-12/9/2019」とも書いてある。

次にやや遠景から見た現場入り口(写真2)。

やや遠景から見たサミット会場入り口

写真2:やや遠景から見たサミット会場入り口

人はほぼいない。

少し内部に入ると以下のような光景があった(写真3)。

サミット会場に向かう、まばらな人影

写真3:サミット会場に向かう、まばらな人

ややまばらながら、会場に向かうための人影がある。

そして会議終了後(写真4)。

サミット終了後、外に出てきた参加者

写真4:サミット終了後、外に出てきた参加者

会場内にいた人たちがまばらに出てきた。

撮影場所は会場前車寄せとそこから少し中に入った所で、基本的には共有スペースになるという。

警備状態が気になるが、「他の商業施設とも繋がっているので、完全封鎖とはいかないように思った」とのこと。建物の中に進むと、会場のゲートがあり、入場制限をしていたという。警備員が周りを警戒していたが、「待ち合わせのフリをして、こっそり写真を撮った」のだと、白井氏は説明してくれた。

このような現場の生々しい情報を伝える写真は、世界に一枚しかないだろう。

これが「一帯一路」香港サミット2019の実態なのである。

◆中国大陸メディアはどう伝えたか

サミット第一目が、香港市民からの大きな抗議を受けずに一応「無事に」終わったのを確かめると、

「9月12日 00:50」になって、ようやく中国大陸のメディアである「深圳広播電影電視(ラジオ・映画・テレビ)集団」が<香港の一日 時は待ってくれない「2019年9月11日」>という見出しで、まちがいなく「一帯一路」香港サミット2019が開催されたことを知らせた。

しかし参加人数も会場の写真も掲載することなく、他の情報を織り交ぜて薄めながら、最後に林鄭月娥氏が辛うじて面目を保ったスピーチ写真を載せているだけだ。

その実態を知ることは、今後もあまり出来ないだろうが、このたび白井氏の俊敏な行動が、この歴史的瞬間の真相を余すところなく知らしめてくれた。

9月4日の逃亡犯条例改正案撤廃に関する宣言は、この瞬間の成功を林鄭月娥氏にもたらすために行われたものだ。そこに香港の暗澹たる未来を見ずにはいられない。

なお、9月11日に「中国統一戦線新聞網」が中国共産党機関「人民日報」の情報として<香港は一帯一路プロジェクトの結合を強化する>という見出しの報道をしているが、これはあくまでも9月10日に行われた香港中華総商会と中国対外請負工程商会が提携して成立させた「工商専業委員会」第一回理事会の模様を報道しているだけで、11日の「一帯一路」香港サミット2019に関しては一言も触れていない。

香港では何が起きるか予測できないので、北京政府側は怖くて、事前報道や生中継などは絶対にできないのである。その証拠を確認する意味では興味深い。

遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。「中国問題グローバル研究所」所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授、北京大学アジア・アフリカ研究所特約研究員、上海交通大学客員教授などを歴任。著書に『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(2019年11月9日出版予定、毎日新聞出版)、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版・韓国語版もあり)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中文版・英文版もあり)、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。 // Born in 1941 in China. After surviving the Chinese Revolutionary War, she moved to Japan in 1953. Director of Chinese Issue Global Research Institute, Professor Emeritus, Doctor of Science at the University of Tsukuba. Member of the Japan Writers Association. She successively fulfilled the posts of guest researcher and professor at the Chinese Academy of Social Sciences. Her publications include “Inside US-China Trade War” (Will be published in 2019/11/9, by Mainichi Shimbun Publishing), “’Chugoku Seizo 2025’ no Shogeki, Shukinpei ha Ima Nani o Mokurondeirunoka (Impact of “Made in China 2025” What is Xi Jinping aiming at Now?), “Motakuto Nihongun to Kyoboshita Otoko (Mao Zedong: The Man Who Conspired with the Japanese Army),” “Chazu Chugoku Kenkoku no Zanka (Japanese Girl at the Siege of Changchun) (including Chinese and English versions),” “Net Taikoku Chugogu, Genron o Meguru Koubou (Net Superpower China: Battle over Speech),” “Chaina jajji — Motakuto ni narenakatta otoko (China Judge: The Man Who Couldn’t Become Mao Zedong),” “Chugoku Doman Shinjinrui: Nihon no Anime to Manga ga Chugoku o Ugokasu (The New Breed of Chinese “Dongman”: Japanese Cartoons and Comics Animate China),” “Chugogu ga Shirikonbare to Tsunagarutoki (When China Gets Connected with Silicon Valley),” and many other books.