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米建国250周年記念祝賀ショー 米国の花火も日本のドローンもほぼ中国製
お台場で開催された米建国250周年祝賀ドローンショー(駐日米大使館のYouTubeからの画面キャプチャー)

米国時間7月4日夜、ワシントンでは華やかな花火が夜空を覆い、これに先立つ日本時間7月3日夜には、日本のお台場ではドローンが高市総理とトランプ大統領の姿を夜空に描き出したが、花火もドローンもほぼ中国製であることは注目に値する。特に日本では高市政権になってからは「反中でなければ人でない」と言わんばかりの情緒が煽られながら、高市早苗の姿を描くドローンが中国製であるというのは、なんとも滑稽で皮肉ではないか。

◆米建国250周年を華やかに彩る花火、ほとんどは中国製

7月3日、フォーブズ・ジャパンは<米建国250周年を華やかに彩る花火、ほとんどは中国製>は、米時間7月4日に開催される建国250周年祝賀大会に関して「花火」を中心に解説している。非常に興味深いので、その中のいくつかを抜粋して以下に列挙する。

  • 花火関係者の業界団体である全米花火協会(APA)のジュリー・L・ヘックマン事務局長の推計によれば、記念日を祝う人々による個人消費が増えるため、一般消費者向けのいわゆる「おもちゃ花火」の売上高は今年、過去最高の25億ドル(約4025億円。1ドル=161円換算)に達する見通しだ。
  • しかし皮肉なことに、米国で販売される花火の7~9割は中国製だ。280社が加盟するAPAの推計によれば、米国で販売される打ち上げ花火の70~75%は中国製で、おもちゃ花火に至っては90%ものシェアを中国製が占めている。
  • 「いくら望んだところで、花火を米国内製造に戻して、中国の生産量をそっくり代替できるほどの量や規模をまかなうことは到底できない」とヘックマンは言う。「中国は、とりわけ米国市場向けの花火製造を極めている。米国仕様に合わせて製造しており、そう簡単に(生産拠点を)切り替えられるものではない。変更に向けた動きも今のところない。
  • 花火業界が君臨する空に、新たな形で参入してきたのがドローンである。ドローンは実際、花火ショーを引き立てる。とはいえ、ドローン単体ではせいぜい60秒ほどしか観客の注意を引きつけられない。ドローンショーは発展するものの、花火に取って代わることはない。しかしドローンと花火は共存できると思う。(以上、フォーブズ・ジャパンの記事の抜粋)

◆日本のお台場での米建国250周年ドローンショーのドローンもほぼ中国製

7月3日にお台場で行われた米国建国250周年記念のドローンショーの主催者は在日米国大使館だ。したがって使った経費に関しては米国の自由だが、なんといっても、そこで使われたドローンがほぼ中国製であるということが気になる。

技術的な実施企業および機種に関して公表されていないため、どれくらいの割合で中国製ドローンが使われたかをデータ的に正確に示すのは困難だ。ただし、株式会社レッドクリフの公式Xおよび同社CEOが今回の関連映像・報道を積極的にリポストしていることから、同社が関与していた可能性は高い。仮に同社が通常の主力機を使用していた場合、中国・深圳の高巨創新(HIGH GREAT)製であったと考えられる。

一方、米国大使館が公開した調達資料には、「America250 Fireworks and Drone Show」を7月3日に実施する旨が記載されている。米政府の契約情報では、契約額は約35万5,600ドル、受注者は「Miscellaneous Foreign Awardees」とのみ表示されており、具体的な企業名は公開されていない。

したがって、こういったルートあるいは推測からは確かなことは言えないが、しかし日本の経産省が2025年12月に公表した<「無人航空機の産業振興に向けた官民協議会」の中間取りまとめ資料>によれば、「日本市場における中国製ドローンのシェアは91%である」となっている。したがって日本で開催したからには、「お台場の空を賑わしたドローンの90%は中国製である可能性が高い」と言っていいだろう。ワシントンの花火がお構いなく中国製を使用している状態で、日本のお台場だけ、91%である中国製以外の、残りの9%からかき集めるような状況は考えにくい。

念のため、経産省のデータをそのまま図表1に掲載し、お台場で行なわれたドローンショーの画像を図表2に示す。図表2に関しては米大使館のYouTubeチャネルの動画<米国建国250周年、おめでとう!>の画面キャプチャーを用いた。

図表1:経産省が示したドローン(無人航空機)の市場シェア

経産省のグラフデータを転載

図表2:日本のお台場で催された米建国250周年祝賀ドローンショーの模様

米大使館のYouTubeからの画面キャプチャー

なお、万が一にも米国から調達したとしても、やはりほぼ中国製であることを、図表3に示す。データは無人航空機システム国際協会(AUVSI)のデータに基づいた。

図表3:米ドローン市場の中国依存度

無人航空機システム国際協会(AUVSI)のデータに基づき、グラフは筆者作成

日本だろうと米国だろうと、ドローンショーを展開するほどドローンを使おうとしたら、「中国製」を使うしかないことが、図表1と図表3から言えるのではないだろうか。

◆こんなに派手に他国の建国記念日を祝賀したのは日本だけ

米国の建国250周年を、日本ほど派手に祝賀した国はない。

欧州ではたしかにベルギーとフランスが祝賀しているが、ベルギーの場合は7月4日当日ではなく、6月28日にブリュッセルで米大使館主催のそれなりに大きなイベントがあった

フランスでは、エッフェル塔が米国旗カラーにライトアップされ、「USA 250」という文字も描かれていた。ヴェルサイユ宮殿では7月4日に米国独立250周年をテーマにした噴水ショー、バロック音楽、ドローンと花火のフィナーレが実施されてはいる。しかし日本ほど派手で「高市総理」と「トランプ大統領」の姿をドローンで描き出すような個人崇拝的な要素はない。

日米双方のネットでは、日本での派手なドローンショーに眉をひそめるコメントが散見され、中には「日本だけが米国の属国であるかのような印象を与える」という批判的なSNSも目立つ。米国の独立記念日に、なぜ高市早苗の肖像が夜空を飾らなければならないのかに納得する人は多くはないだろう。

特に日本の立ち位置は7月6日の論考<対中包囲網クアッド構成国(日米豪印)巡りを終えた高市総理 G2を重んじるトランプはクアッドに無関心>に書いたような状況にある。反中精神を軸にして行動している総理の姿が、中国製のドローンによって描かれ夜空に輝いたなど、洒落にならない。あるいは、これこそが日本の姿かもしれないが、当該論考の図表1(二つの顔を持つインド)をじっくりご覧いただき、読者とともに日本のあり方を考えていきたい。

 

この論考はYahoo!ニュース エキスパートより転載しました。

1941年中国生まれ。中国長春市で中共軍による食糧封鎖に遭い家族を餓死で失う。1953年日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。内閣府総合科学技術会議専門委員(小泉政権)や中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『G2構想 勝つのは米国か中国か』(7月2日発売予定)、『台湾軍事機密文書が語る中国「抗日戦争」の真相』、『米中新産業WAR』(ビジネス社)(中国語版『2025 中国凭实力说“不”』)、『嗤(わら)う習近平の白い牙――イーロン・マスクともくろむ中国のパラダイム・チェンジ』(ビジネス社)、『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』(ビジネス社)、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』(実業之日本社)、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(PHP)、『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(遠藤 誉 (著), 白井 一成 (著), 中国問題グローバル研究所 (編集)、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(毎日新聞出版)、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版・韓国語版もあり)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。 // Born in 1941 in China. After surviving the Chinese Revolutionary War, she moved to Japan in 1953. Director of Global Research Institute on Chinese Issues, Professor Emeritus at the University of Tsukuba, Doctor of Science. Member of the Japan Writers Association. She has served as a specialist member of the Council for Science, Technology, and Innovation at the Cabinet Office (during the Koizumi administration) and as a visiting researcher and professor at the Institute of Sociology, Chinese Academy of Social Sciences. Her publications include “2025 China Restored the Power to Say 'NO!'”, “Inside US-China Trade War” (Mainichi Shimbun Publishing), “’Chugoku Seizo 2025’ no Shogeki, Shukinpei ha Ima Nani o Mokurondeirunoka (Impact of “Made in China 2025” What is Xi Jinping aiming at Now?), “Motakuto Nihongun to Kyoboshita Otoko (Mao Zedong: The Man Who Conspired with the Japanese Army),” “Japanese Girl at the Siege of Changchun (including Chinese versions),” “Net Taikoku Chugogu, Genron o Meguru Koubou (Net Superpower China: Battle over Speech),” “Chugoku Doman Shinjinrui: Nihon no Anime to Manga ga Chugoku o Ugokasu (The New Breed of Chinese “Dongman”: Japanese Cartoons and Comics Animate China),” “Chugogu ga Shirikonbare to Tsunagarutoki (When China Gets Connected with Silicon Valley),” and many other books.
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