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イラン外相訪中報道だけで、急遽「TACO」るトランプ
トランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

5月6日、イランのアラグチ外相が訪中する。4月8日にはイラン側がホルムズ海峡開放と宣言したのに、その5日後の4月13日にはトランプ大統領がホルムズ海峡を逆封鎖すると言い出したことが直接の原因だ。

事実経緯としてはややこしいが、4月8日にイランが開放を言い出し、4月13日トランプが逆封鎖を宣言した状況下で、4月17日になるとイランが開放を再宣言したのだが、同日トランプが「イランの開放は歓迎するが、アメリカによる逆封鎖は有効なままだ」と発言したので、それに対して4月18日、イランが再び封鎖を宣言したというのが実情だ。

一方、トランプは5月4日からプロジェクト・フリーダムというのを始めたが、これはあくまでも逆封鎖の中で、イラン以外の船舶を護衛しホルムズ海峡を自由に通航させるという作戦で、イラン関係の船舶は一切通さないという厳しい条件付きだ。もしイランがそれに従わない場合は、世界最大級の火力によって狙撃すると威嚇してきた。

このときトランプは「地球の表面から吹き飛ばす」という表現を用いている。

それでいてヘグセス米国防長官は「停戦は維持する」と宣言。

身勝手すぎるだろう。

これでは一種の戦争であって、停戦合意に反するだけでなく、あまりに理不尽だ。

しかし、我慢の限界に来たイラン外相が堂々と訪中するということが表面化した途端、なんとトランプが「TACO」った!

そんなに習近平が怖いのか?

 

◆イランのアラグチ外相が訪中し王毅外相と会談という報道

米イスラエルによるイラン攻撃が始まって以来、中国は常に水面下で動いていた。表立ってイランと中国が関係しているような行動はとらなかった。4月8日の「2週間即時停戦」さえ、習近平は関係していないような顔を貫いている。

それがここに来て、ついに表面化し、アラグチ外相が堂々と訪中するのだ。

理由は冒頭に書いたように、アメリカは「停戦は維持する」と言いながら、「イラン以外のホルムズ海峡の通航を保護し支援する」と言い始めたことだ。

このような真綿でイランの首を絞めるようなことをやられたのでは、イランとしては耐え難いにちがいない。

だから遂に、イラン攻撃が始まって以来初めて、表立ってイランが直接中国と接触するのを公開した。

すると、どうだろう?

トランプが「TACO」ったではないか――!

 

◆「TACO」るトランプ 突然、プロジェクト・フリーダムの短期間停止を宣言

なんと、5月6日、午前7時52分、トランプは自分のSNSであるTruthで、急遽、以下のように発信した。

――パキスタンおよびその他の国々の要請に基づき、イランに対する作戦において我々が収めた目覚ましい軍事的成功、そしてイラン代表との完全かつ最終的な合意に向けて大きな進展があったことを踏まえ、我々は、封鎖は引き続き完全に効力を維持するものの、合意が最終的に締結され署名されるかどうかを見極めるため、プロジェクト・フリーダム(ホルムズ海峡を通過する船舶の航行)を短期間停止することに合意した

                         ドナルド・J・トランプ大統領

 

この「短期間停止する」という意味は、逆封鎖をやめるという意味ではなく、「イランと衝突する可能性が高い米軍による護衛任務を短期間停止する」という意味だ。

それにしても、トランプはそんなに習近平が怖いのか?

5月14日の訪中を控え、今となってはこの訪中だけは拒否されたくない。

この時点ですでに米中両国の力関係において、「勝負あり!」という感を拭えない。

 

なお、会談以降の進展に関しては追って継続的に考察したい。

 

この論考はYahoo!ニュース エキスパートより転載しました。

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。「中国問題グローバル研究所」所長。筑波大学名誉教授、理学博士。内閣府総合科学技術会議専門委員(小泉政権時代)や中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『台湾軍事機密文書が語る中国「抗日戦争」の真相』(4月17日出版予定)、『米中新産業WAR』(ビジネス社)(中国語版『2025 中国凭实力说“不”』)、『嗤(わら)う習近平の白い牙――イーロン・マスクともくろむ中国のパラダイム・チェンジ』(ビジネス社)、『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』(ビジネス社)、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』(実業之日本社)、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか』(PHP)、『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(遠藤 誉 (著), 白井 一成 (著), 中国問題グローバル研究所 (編集)、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(毎日新聞出版)、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版・韓国語版もあり)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。 // Born in 1941 in China. After surviving the Chinese Revolutionary War, she moved to Japan in 1953. Director of Global Research Institute on Chinese Issues, Professor Emeritus at the University of Tsukuba, Doctor of Science. Member of the Japan Writers Association. She has served as a specialist member of the Council for Science, Technology, and Innovation at the Cabinet Office (during the Koizumi administration) and as a visiting researcher and professor at the Institute of Sociology, Chinese Academy of Social Sciences. Her publications include “2025 China Restored the Power to Say 'NO!'”, “Inside US-China Trade War” (Mainichi Shimbun Publishing), “’Chugoku Seizo 2025’ no Shogeki, Shukinpei ha Ima Nani o Mokurondeirunoka (Impact of “Made in China 2025” What is Xi Jinping aiming at Now?), “Motakuto Nihongun to Kyoboshita Otoko (Mao Zedong: The Man Who Conspired with the Japanese Army),” “Japanese Girl at the Siege of Changchun (including Chinese versions),” “Net Taikoku Chugogu, Genron o Meguru Koubou (Net Superpower China: Battle over Speech),” “Chugoku Doman Shinjinrui: Nihon no Anime to Manga ga Chugoku o Ugokasu (The New Breed of Chinese “Dongman”: Japanese Cartoons and Comics Animate China),” “Chugogu ga Shirikonbare to Tsunagarutoki (When China Gets Connected with Silicon Valley),” and many other books.
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