言語別アーカイブ
基本操作
戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartⅢ
a meeting of the Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership, CP TPP, in Santiago, Chile, Thursday, May 16, 2019. (AP Photo/Esteban Felix)

6.戦略的提携とCPTPP加盟

 

地域経済統合をめぐるダイナミックな展開において、台湾による主要国との戦略的提携が、経済成長と協力関係を促進する上で重要であることが証明されている。市場アクセスの強化にとどまらず、グローバルな舞台において信頼に足りる、責任ある貿易相手国としての役割を台湾が担っていることを示すためにも、こうした提携関係は極めて重要である。ここからは、台湾の経済発展に大きなチャンスをもたらした、日本、オーストラリア、メキシコ、チリ、ペルーとの協力関係について検証しよう。

 

A.日本との技術協力、イノベーション、持続可能な発展の推進

日本との戦略的提携は、両国における技術協力の促進とイノベーションの推進に役立っている。こうした協力関係の代表的な例として挙げられるのが、日本国内におけるTSMC社の事業拡大である。半導体製造分野の世界的リーダーであるTSMC社は、日本企業と戦略的に提携して、最先端技術の開発や半導体研究の推進に取り組んでいる。この提携を通じて、台湾側は先端技術や研究能力における日本の専門知識を活用し、日本側はTSMC社が擁する最先端の製造プロセスや製造能力の恩恵を受けている。さらに、この提携関係は知識交換、共同研究開発イニシアチブ、人材流動化を促進し、相互の技術的進歩にも貢献している。ここでの戦略的パートナーシップによって、世界市場におけるハイテク大国としての台湾の地位は向上し、半導体産業における重要なプレイヤーとしての日本の地位も確固たるものとなった。この協力関係によって、両国が技術的影響力を拡大し、将来のイノベーション発展に役立つプラットフォームも誕生している。

 

さらに、台湾と日本の戦略的提携関係は技術協力にとどまらず、持続可能な貿易や環境への取り組みにも及んでいる。環境保護とクリーンエネルギーソリューションに取り組む日本の姿勢は、持続可能性と責任あるビジネス慣行を重視する台湾の姿勢と共鳴するものだ。両国とも、気候変動への対応と、より持続可能な未来を実現するためのグリーンソリューション推進が急務であることを認識している。再生可能エネルギープロジェクトの実施や省エネ促進における日本の経験は、低炭素経済への移行を目指す台湾の努力とも合致する。

 

二国間協定や共同イニシアチブを通じて、台湾と日本は再生可能エネルギー技術、廃棄物管理システム、環境に優しい製品などの分野で貿易関係を強化してきた。グリーンイノベーション分野における共同研究開発プロジェクトは、環境に優しいソリューションに対する世界的な需要の高まりに応える、革新的な製品の創出につながった。さらに両国は、気候変動対策を提唱して持続可能な開発を促進する国際フォーラムにも積極的に参加している。環境保護に共同で取り組むことにより、経済成長が促進されるだけでなく、気候変動を緩和し、より緑豊かで持続可能な地球を実現するための世界的な取り組みへの貢献にもつながっている。台湾と日本のパートナーシップは、差し迫った環境問題に対処し、より持続可能で豊かな未来への道を切り開くために各国がいかに協力できるかを示す、希望と進歩の道標となっている。

 

B.オーストラリアとの、持続可能な貿易イニシアチブならびにクリーンエネルギーソリューションの推進

オーストラリアが掲げるクリーンエネルギー構想の重要な柱のひとつが、化石燃料からの脱却と再生可能エネルギーの導入である。同国は太陽光、風力、水力エネルギーの利用において大きく前進し、温室効果ガス排出量の削減と、より持続可能なエネルギー環境の実現を果たしている。

 

オーストラリアのクリーンエネルギーソリューションは、よりグリーンな環境の実現に貢献しているほか、多くの経済的機会をもたらしている。同国はクリーンエネルギー技術の研究開発への投資を積極的に行い、再生可能エネルギー分野における革新的産業の成長と雇用創出につなげている。

 

さらに、責任あるエネルギー消費と省エネ対策を重視するオーストラリアの姿勢は、他の国々が模範とすべき手本ともなっている。様々な政策やイニシアチブを通じて、オーストラリアは企業や個人に対して持続可能な慣行の導入を奨励しており、二酸化炭素排出量の削減や、よりクリーンな地球の実現に貢献している。

 

台湾とオーストラリアによる戦略的提携は、持続可能な貿易イニシアチブとクリーンエネルギーソリューションの推進に重点を置くものだ。両国は環境保護ならびにグリーンな慣行に対する責任意識を共有しており、持続可能な経済成長を目指す台湾の取り組みにとって、オーストラリアは理想的なパートナーである。両国の提携関係は、環境に優しい貿易慣行、再生可能エネルギープロジェクト、環境保護を最優先した責任あるビジネス慣行に重点を置いたものとなっている。

 

オーストラリアの豊富な天然資源とクリーンエネルギー技術に関する専門知識を活用することで、台湾はイノベーションを推進し、環境に優しい製品やソリューションの開発を促進することができる。この提携関係を通じて台湾は、グリーン製造と責任ある貿易への真摯な取り組みの屋台骨となる、クリーンエネルギーと持続可能な資源の信頼できる供給源を得ている。同時に、オーストラリアの側も、台湾からの投資と技術移転による恩恵を受け、自国の経済成長と技術進歩に貢献している。ここでの戦略的パートナーシップは、地域経済統合に向けた台湾の取り組みを強化し、持続可能な貿易イニシアチブの責任ある積極的な加盟国としての評判を高めることにつながっている。

 

C.メキシコ、チリ、ペルーとの貿易・投資提携:北米と中南米をつなぐ重要な架け橋を強化

台湾とメキシコ、チリ、ペルーとの戦略的提携関係は、北米と中南米の経済を結びつけて関係国間の貿易・投資機会の拡大を促す、極めて重要な架け橋として注目を集めている。

 

メキシコは米国にとって主要な輸出国であり、提携関係を結ぶことによって、同国が擁する安定した貿易ルートを通じて台湾から北米市場にアクセスする、という大きな可能性を秘めている。その多様な経済環境と戦略的立地からしても、市場拡大を目指す台湾企業にとってメキシコは魅力的なパートナーである。

 

これに対してチリとペルーは、台湾がラテンアメリカ市場に参入するための貴重な機会を提供している。いずれも輸出志向の経済が盛んで天然資源に恵まれていることもあって、これら地域への投資を目指す台湾企業にとって有利な展望が開けている。

 

台湾では、オーストラリアと共に掲げるクリーンエネルギーソリューションのコンセプトを重視しているが、その点では、持続可能な開発と再生可能エネルギープロジェクトを重視するチリとも足並みが揃いやすい。クリーンエネルギー分野でチリと協力することにより、両国に利益をもたらす技術交流や研究イニシアチブへの道を開き、気候変動に対抗する世界的な取り組みにも貢献できるだろう。

 

これに加えて、ペルーの豊富な天然資源と戦略的立地が、台湾が南米における貿易と投資のプレゼンスを高める機会を提供してくれる。ペルーとの提携関係においては、鉱業、農業、製造業といった分野での協力が相互の成長促進につながるだろう。

 

メキシコ、チリ、ペルーと貿易上、投資上の強力な提携関係を結ぶことにより、台湾はアメリカ大陸全域へと経済圏を拡大し、北中南米経済の架け橋として極めて重要な役割を果たすことができるだろう。各国の強みを活かし、持続可能な発展への真摯な姿勢を共有するこの戦略的提携関係は、すべての関係国に相互繁栄と経済成長への有望な道筋を提供するものとなる。台湾が北中南米地域の経済統合に積極的に参加する状況において、この提携関係は、グローバルな舞台において台湾が責任ある包括的な貿易慣行に努めていることの証となる。

Part に続く

陳建甫博士、淡江大学中国大陸研究所所長(2020年~)(副教授)、新南向及び一帯一路研究センター所長(2018年~)。 研究テーマは、中国の一帯一路インフラ建設、中国のシャープパワー、中国社会問題、ASEAN諸国・南アジア研究、新南向政策、アジア選挙・議会研究など。オハイオ州立大学で博士号を取得し、2006年から2008年まで淡江大学未来学研究所所長を務めた。 台湾アジア自由選挙観測協会(TANFREL)の創設者及び名誉会長であり、2010年フィリピン(ANFREL)、2011年タイ(ANFREL)、2012年モンゴル(Women for Social Progress WSP)、2013年マレーシア(Bersih)、2013年カンボジア(COMFREL)、2013年ネパール(ANFREL)、2015年スリランカ、2016年香港、2017年東ティモール、2018年マレーシア(TANFREL)、2019年インドネシア(TANFREL)、2019年フィリピン(TANFREL)など数多くのアジア諸国の選挙観測任務に参加した。 台湾の市民社会問題に積極的に関与し、公民監督国会連盟の常務理事(2007年~2012年)、議会のインターネットビデオ中継チャネルを提唱するグループ(VOD)の招集者(2012年~)、台湾平和草の根連合の理事長(2008年~2013年)、台湾世代教育基金会の理事(2014年~2019年)などを歴任した。現在は、台湾民主化基金会理事(2018年~)、台湾2050教育基金会理事(2020年~)、台湾中国一帯一路研究会理事長(2020年~)、『淡江国際・地域研究季刊』共同発行人などを務めている。 // Chien-Fu Chen(陳建甫) is an associate professor, currently serves as the Chair, Graduate Institute of China Studies, Tamkang University, TAIWAN (2020-). Dr. Chen has worked the Director, the Center of New Southbound Policy and Belt Road Initiative (NSPBRI) since 2018. Dr. Chen focuses on China’s RRI infrastructure construction, sharp power, and social problems, Indo-Pacific strategies, and Asian election and parliamentary studies. Prior to that, Dr. Chen served as the Chair, Graduate Institute of Future Studies, Tamkang University (2006-2008) and earned the Ph.D. from the Ohio State University, USA. Parallel to his academic works, Dr. Chen has been actively involved in many civil society organizations and activities. He has been as the co-founder, president, Honorary president, Taiwan Asian Network for Free Elections(TANFREL) and attended many elections observation mission in Asia countries, including Philippine (2010), Thailand (2011), Mongolian (2012), Malaysia (2013 and 2018), Cambodian (2013), Nepal (2013), Sri Lanka (2015), Hong Kong (2016), Timor-Leste (2017), Indonesia (2019) and Philippine (2019). Prior to election mission, Dr. Chen served as the Standing Director of the Citizen Congress Watch (2007-2012) and the President of Taiwan Grassroots Alliance for Peace (2008-2013) and Taiwan Next Generation Educational Foundation (2014-2019). Dr. Chen works for the co-founders, president of China Belt Road Studies Association(CBRSA) and co-publisher Tamkang Journal of International and Regional Studies Quarterly (Chinese Journal). He also serves as the trustee board of Taiwan Foundation for Democracy(TFD) and Taiwan 2050 Educational Foundation.