第3回全体会議に関する台湾の関心とシンポジウム
台湾が、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)に世界で最も関心を持つ国の1つであることは間違いない。この会議の成果が、今後の中国の経済発展と中台関係の行方を決めることになるかもしれないからだ。台湾の国家政策研究院と文化教育財団は7月18日に、「中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議および台湾の独立を罰する新たなルール」と題したシンポジウムを開催した。このシンポジウムでは、中国本土について研究する台湾の学者が、中国の三中全会に関する主な所見を発表した。
習近平氏の1期目から3期目までの焦点と基軸の変化
1期目の習近平氏の報告は、「改革の全面深化におけるいくつかの重要問題に関する共産党の決定」に焦点を当てたものであった。彼は、資源配分の決定で市場が果たす役割と政府の役割を重視し、国の統治体制と統治能力の近代化を推し進め、「国進民退」現象を招いた。
2期目には、三中全会が半年前倒しで開催された。この会議では、従来の経済政策モデルから脱却し、国家機構改革に重点が置かれた。特に焦点が当てられたのが、「党と国家機構改革の深化」である。だがその結果はというと、憲法が改正されて主席の任期制限が撤廃され、習近平氏が生涯にわたり国家主席の地位を維持する道を開いた。それ以降、習近平氏は自ら直接、経済政策を指揮・展開して、経済に強い李克強氏に完全に取って代わるようになった。
習氏の3期目には、三中全会が半年近く先送りされ、その焦点は、「改革をさらに深化し、中国式現代化を推進するための決定」に当てられた。これは過去10年間の改革深化の経験を総括し、将来の改革実践に生かすものである。改革のさらなる深化というテーマは第18期総会から変わっていない。三中全会のコミュニケは包括的な内容であったが、重要なブレークスルーの実現よりも党管理体制改革の深化に注力していくことが伺える。
経済発展の路線・体制と人事の変更
経済発展の路線は、1978年の第11期中央委員会第3回全体会議に見られたような「経済建設中心」から、「経済修復中心」にシフトした。習氏は抜本的な変革を起こすのではなく、従来の「トロイカ体制」に取って代わる新たな3つの経済推進策の導入など、修復策で問題解決を図ることを提案している。
経済発展体制も、「安定第一」から「安全保障第一」へと移行し、国家安全保障を中核に据えた経済体制の確立を図る。安全保障関連の法律の整備が最近進んでいるが、これは、中国式近代化の着実かつ長期的な前進には国家安全保障の確保が不可欠であることを示唆する。国家安全保障という概念を全面的に実践し、国家安全保障を維持する体制とメカニズムを強化し、質の高い発展と高レベルの安全保障を実現する必要がある。
党規約の条項に従い、人事の変更も行われた。三中全会は中央委員会候補委員の丁向群氏、于立軍氏、于吉紅氏の中央委員会委員就任を決定した。2023年のロケット軍の幹部解任を受けて、王厚斌氏と徐西盛氏は中央委員会のメンバーに加えられなかった。また董軍氏は国防相に任命されたものの、中央軍事委員会のメンバーに加えられていない。三中全会は秦剛氏の辞任届を受理し、彼を中央委員会から追放した。中国共産党中央軍事委員会も、李尚福氏、李玉超氏、孫金明氏について、重大な規律・法律違反を理由とした党からの除籍処分を決定した。
今後の道筋の3つの課題
国家主席の座に就いて以降、習近平氏は「中国モデル」、「中国の道」、「中国式近代化」を重視し、国家の方向性、理論、体制、文化に対する信頼を高めることに注力し、外国モデルを否定してきた。習氏は、欧米で成功した民主主義体制に倣うのではなく、権威主義的ルールに従うべきだと主張している。第14期中央委員会第3回全体会議の「社会主義市場経済」から、第18期中央委員会の「中国の特色のある社会主義」と第20期中央委員会の「中国式」まで、習近平氏は社会主義を自らの独裁的な統治モデルへと変化させた。
今回のシンポジウムでは、淡江大学中国大陸研究所兼任助理教授の洪耀南博士が、解決する必要のある3つの主な問題にスポットを当てた。習近平氏の「問題志向型の計画立案」は、高齢化による生産性低下、中央政府と地方政府の土地財政における財政力格差、地域保護主義と国家周期など、中国の経済発展の実務的な問題に焦点を当てている。第20期中央委員会第3回全体会議は、1994年の分税制の「後遺症」に対処することを目的に、中央と地方の財政・税金配分システムなどの改善計画を提案した。
まとめ:空疎な会議
毛沢東氏は革命を継続革命に変え、鄧小平氏は継続革命を改革に変え、そして習近平氏は改革を改革の深化へと変えた。第20期中央委員会第3回全体会議は、鄧小平時代に第11期中央委員会第3回全体会議で幕を開けた経済改革時代の終焉を宣言した。中国の経済問題の根本原因は政治にある。全体を変革しなければ、会議を何回開こうと、それまで築き上げてきたものが崩れ去るだろう。
中国経済は2018年以降、徐々に下降線をたどっており、それに歯止めがかかる気配はない。国民は第11期中央委員会第3回全体会議のように、大規模な改革で閉塞感を打ち破り、社会的信頼の回復を図ることを三中全会に期待している。だが李強氏が首相に就任して以降、ほとんどの経済救済策はその場しのぎで、期待された第3回全体会議も画期的な改革計画を示すには至らなかった。これが、改革派という習近平氏のイメージを弱め、外部の期待を低下させている。第20期中央委員会第3回全体会議を第11期中央委員会第3回全体会議のレベルにまで引き上げるとし、習近平氏を鄧小平氏に並ぶ改革者と称する宣伝活動にもかかわらず、今回の三中全会は、改革者としての彼の力量不足を浮き彫りにしただけであった。国際社会と中国国民は、中国共産党中央委員会第3回全体会議に、もはやいかなる期待も抱いていない。
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